同じ穴の狢「闇の子供たち」

微笑みの国と言われているタイ…その微笑みの中にも暗い闇がある…


穏やかな国民だという反面、ドラッグ、エイズ、貧困など映画に書かれているような多くの闇も抱えている国でもあります。(この映画を観終わったすぐ後ニュースでタイに非常事態宣言が発令されたというのを見て余りのタイミングに驚くばかりでした)


ドキュメンタリーかと思われるほどの映像の緊迫感…
でもあくまでもドキュメントのように見えるフィクションです。


ただ、作品内で起きていることは全くのフィクションではなく、場所などが違えども実際一部の国々で起きていることでしょう。


事実、生活が苦しくて子供を売る人もいるでしょう、突然誘拐される子供もいるでしょう、そうしてそのような子供たちを大人たちが自分たちの欲望の道具にしていくことも事実でしょう。


決して楽しく見る作品ではないけれど、どこかの国でこのようなことが実際に起きてるということを知ることも大切だし、私たちが楽しく旅行をしてるその通りのどこかで映画の子供たちが存在してることを…


現代の日本では目に見える人身売買はないかもしれないからどこか遠くの自分とは関係ない話のように感じるかもしれないけれど、そういう場所で一部の日本人達は人身売買に加担してる、それも世界の中でも上位に入るほど…でもそんな事実を多くの日本人は知らないでしょう。


勿論、日本人以外にもいることも事実。(そんな事を言いたいわけではないですから)


自分の子供が臓器移植をしないと助からないからと生きた子供の臓器を移植するということに「自分の子供を見殺しにしろと?」という。助けたい命、でもその為に本来死ぬ必要のない1人の人間の命を奪うことが本当にできるのだろうか?親として自分の子供が少しでも元気に長生きしてほしいと願い事は当たり前のことだろう、しかしもし元気になって成長した子供たこの事実を知った時の苦しみを本当に考えているのだろうか?あまりにも残酷だと思いませんか?(だからといってそういう親を批判してるわけではありません)


病気になった途端にビニールに詰められてごみと一緒に捨てられる命…何とか抜け出して家に帰っても誰も自分を温かく迎え入れてくれる人もなく、結局死んでしまう命…


そこには憤りも、怒りもなくただ無気力さしか残らないのか…
劇中で江口洋介さん演じる南部がどうして子供を見るとき、あのような目をするのかと思っていたが最後を見て妙に納得した。


新聞記者としての事実を報道するという正義感と義務感の反面、軽い気持ちで犯した(実際、軽い気持ちなのかどうなのかはわかりませんが)自らの罪に常に苛まれ続けていた。そういうことをする人たちに嫌悪感を感じつつ、正義感と信念を持って命を顧みることない宮崎あおい演じる音羽に対してそれまで何とか自分にどれだけ子供たちを助けようと思っても仕方無いと言い聞かせていた自分が実は自分が嫌悪してる人間たちと同じ穴の狢だという現実を受け止められずにいること。


確かに1人助けられたとしてもまたその1人の代わりが次から次に出てくるだろうだからと言ってそれで良いわけでもないしどうしたらそのような悲しいことがなくなるのかそれを考えるその事を思う、そういう事実があるという事を知るということだけでも本当に大切なことだと私は思います。


だからこそ、もっと多くの人たちにこの作品を見てほしいと思う。


誰かの命のために誰かの命を犠牲にすることが正しいことなのか?
誰かの欲望のためにその子たちの人生を明るい未来や希望を捨ててしまってもいいのか?


そんな事を考えるきっかけにこの作品がなるだけでも素晴らしいと思います。(なんだか考えがまとまらないのでまた何か思ったら追記します)

そういえば昨年MTV EXIT(人身取引に関しての認知を広め、防止・予防を促すキャンペーン)のキャンペーン番組の韓国版でRainがナレーションを務めていましたよね。

MTV EXITサイト